先日,測量士補試験を受験しました。遂に17回目です。日本中探しても測量士補試験をこんなに受験した人はあまりいないと思います。自分は,某資格予備校において測量士補の講義に関わっているため,毎年請負業務として測量士補を受験しているのです。 会場は意外に頻繁に変わります。17年の間に色々な会場を巡りましたが,一番感慨深かったのは中央工学校でした。私は,大学卒業後に中央工学校測量科に1年通いました。まさに自分が生徒として通ったその教室に,まさか再び訪れる日がくるなどとは想像できませんでした。試験時間中は教室を懐かしく眺めました。勿論,カンニングと思われないようには気をつけましたけれども。 今年の会場は,去年に引き続き中央大学の後楽園キャンパスでした。教室に入り,他の受験者の緊張した面持ちを眺めつつ試験時間を待ちます。そして,「それでは試験開始です!」の声とともに問題冊子を捲った瞬間,私にとっての断罪の時間が始まります。 自分の講義内容でどの程度失点し得るか,模擬試験の予想は当たっていたか,ある意味普通の受験者よりも一喜一憂してページを進めていきます。問題を解答していくと同時に,各問題の難易度判定,過去に出題された問題との関連性,出題者の意図(どのようにして間違って欲しいと考えているか)を探っていきます。 そして,解答の特定に障害となる疑義の残る選択肢や根拠を掘り下げておく必要のある選択肢を特定します。それでも開始から2時間も経つと会場ではできることもなくなり,試験の終了時刻をただ待つことになります。この時間が一番苦痛です。なお,解答用紙は合格すると面倒なことになるそうなので適当に埋めます。 「では,試験を終了して下さい!」という試験官の声は,終了ではなく真の戦いの始まりを告げる声です。答案用紙回収のためしばらく拘束された後,試験本部で資料用の新しい問題冊子を貰い,速やかに会社(某資格試験予備校)へと向かいます。 その道中,電車の中で解答の確認作業を行います。電卓を叩き計算問題を点検し,予め特定しておいた調査を要する選択肢の根拠を「公共測量作業規程の準則」で確認します。30分ほどの移動時間の間に概ねその作業を終え,会社で同じ任務を持つスタッフと合流します。解答肢の特定は会社の面子がかかっているので,間違えるリスクを極力下げなくてはいけない事情から必ず複数人で受験するのです。 全員で答え合わせをすると見解が分かれることもありますが,それが良いのです。間違う人がどう間違うかは教材作成や内容の解説をする上でとても参考になるのですから。勿論,自分が間違うことも残念ながらたまにはあります。 ともあれ,作業を始めて1時間半ほどで内部的な締め切りの19時に近づいてきましたので,解説講義の収録に向かいました。それで当日の業務は終わりです。その後,2,3日もやもやした日々を過ごしましたが,同業他社の解答が出揃い,とりあえず一致していたので安堵しました。何事なく終わって良かったです。 (記事 大和支部 島村 賢)
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