【調査士ねっとわーく】百見は一労作にしかず

 令和4年度定時総会後の式典での最中、参加した会員が倒れ、その後お亡くなりになった。面識があり、自分より若い会員の突然の死は、言葉にならないくらいの衝撃だった。心よりご冥福をお祈りしたいと思う。

 しかし、若い会員2名による、懸命の救命処置のおかげで一命をとりとめ、一時は兄弟と冗談が言い合えるほど回復したと聞き、少しだけ安堵した。と同時に命の危機に瀕している仲間を目の前にして、何もできなかった自分を激しく恥じた。

 

 そんな折、自治会から「防災訓練」の案内がきたので、参加した。

 内容は①火災の際の避難体験、②消火器での初期消火の体験、③心臓マッサージとAED体験であったが、「なるほど」と思うことがいくつかあったので、紹介したい。特に心臓マッサージとAEDは興味があったので、講師として来てくれた消防隊員を得意の質問攻めにした。

 

 ①火災の際の避難体験

 ・姿勢を低くして非難するが、膝をついてはいけない(四つん這いや、ほふく前進は避ける)。理由はガラスの破片などがあり、膝をケガする可能性があるため(避難において、膝は大切)。

 

 ②消火器での初期消火の体験

 ・圧力計がついていないタイプは、一度レバーを握ると消火剤が出っぱなしになる。火元に到着してからレバーを握るように。

 ・圧力計がついているタイプは、レバーを握ったときだけ消火剤が出る。ただし一度噴射した消火器は、たとえ中身が残っていても交換(一度の使い切り)。

 ・どちらのタイプも噴射時間は14秒ほど。

 (私) 初期消火に成功しても119番すべき?

 (隊員)完全に消火できているかの確認と、原因の調査を行うので、必ず119番して欲しい。通報する時「初期消火に成功した」と伝えてもらえれば、サイレンを鳴らさず、少人数で向かう(大事にならないよう気を遣う)。特に出火原因の調査は、今後の防災に役立てるので、協力して欲しい。

 

 ③心臓マッサージとAED体験

 (私) 息をしているかどうか(マッサージをすべきかどうか)分からない。

 (隊員)「迷ったら(分からなかったら)やる!」。もし息をしていれば、マッサージする手を払いのけるなど何らかの反応があるはず。反応があればやめればよい。

 (私) 1.圧迫する場所、2.圧迫する力、3.(圧迫を繰り返す)タイミングの3点で何が大事?

 (隊員)場所と力。タイミングは多少ずれても大丈夫。マッサージは心臓から血液を送り出す事が重要なため、「押したら確実に力を抜く」を心がけて。押す、離す、のメリハリが大事。

 (私) ろっ骨が折れると聞いたことがある。

 (隊員)まず折れる。特にお年寄りは必ず折れる。でも、骨は折れてもくっつく。躊躇せず力を入れて欲しい(体重をかけて欲しい)。命を救うことの方を優先して。

 (私) AEDの電極はTシャツなどの上から付けても良い?

 (隊員)ダメ。必ず素肌につけて。特に相手が女性の場合、下着にワイヤーが入っていると、電流がワイヤーを伝わってしまう。場合によっては下着をずらすなどの措置が必要。

 (私) (電極に、装着する場所がイラストで印刷されているが)2枚ある電極の付ける位置は逆でもよい?

 (隊員)絵が描いてあるが、逆でも構わない。心臓を電流が通過するよう、心臓を中心に対角線上に設置すればよい。子供の場合、胸と背中に張ってもかまわない。

 

 「百聞は一見にしかず」ということわざがあります。言うまでもなく、「百回聞くより一度見る方が、理解が早い」という意味ですが、私の母校の小学校では「百聞は一見にしかず」に加え「百見は一労作にしかず」と教えられました。これは「百回見るより一回やってみろ」という意味です。大人になった今でもこの教えを実践するよう心がけていますが、今回、特に心臓マッサージとAEDを経験し、実際に体験することの大切さを痛感しました。この経験が将来、大切な人の命を救うことになるかもしれません。防災訓練を受けるチャンスがあったら積極的に参加することを強く、強く、強くお勧めします。

 

 

 事務所の消火器は「圧力計あり」でした。

 消火器を常備している皆さま、今一度ご確認を。

 

(記事・写真 相模原支部広報員 中川 裕久)

 

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