東京工芸大学厚木キャンパスにてセミナー開催

平成24年12月1日の土曜日に、東京工芸大学厚木キャンパスで、これから就職活動を始める建築学科の学生たちを対象に、土地家屋調査士制度を紹介するセミナーが開催された。神奈川県土地家屋調査士会では3年前から各支部が中心となり、工業高校を対象にした“出前授業”は実施しているが、大学生を対象にしたセミナーの開催は初めての試みである。これは制度対策特別委員会が企画立案して大学側に提案、実現したもので、午前11時から12時30分まで1時間半の課外授業として行われた。

準備した配布資料。左からクリアファイル、制度対策特別委員会作成のオリジナル資料、土地家屋調査士制度の広報ポスターの縮小版、おなじみのリーフレット。

境界標の実物と二宮金次郎マップも展示。

セミナーには男女合わせて66名の学生が参加し「予想以上に大勢の学生が参加してくれた。大成功と言えるのでは」(海野会長)と言う盛況ぶり。皆“土地家屋調査士”という聞きなれない資格について熱心に耳を傾けていました。講義は4つの項目について、1項目約15分を4名の委員がそれぞれ担当して行われました。

最初の講義は『土地家屋調査士試験について(加藤副委員長)』 受験資格や合格率のほか、開業後の年収についても言及。特に年収については今まで見落とされがちであったが、就職活動は学生たちにとって人生設計の第一歩であり、ある意味最も重要なことであると思う。

始めに加藤副委員長が土地家屋調査士試験について講義。彼の手抜きのないスーツの着こなしは、作業着姿が定着している筆者も見習わなくては、と思う。

2番目は『建築設計と土地家屋調査士(林委員)』 狭あい道路に接した敷地に建物を計画する際、セットバックの位置の算出には、まず道路との境界を明らかにする必要があるなど実務上の話のほか、建築と登記のかかわりを知っておくことは大切である。建築設計と土地家屋調査士との接点について説明が行われた。

建築士でもある林委員が、穏やかな語り口調で建築設計と土地家屋調査士業務との関連について講義。建築学科の学生たちにとっては、なじみやすい内容であったと思う。

3番目は『土地家屋調査士の業務(花上委員長)』 実際の業務内容についての説明のほか、土地家屋調査士として開業しなくても、建築士としての知識を更に広げるために土地家屋調査士の資格取得を目指してもよいのでは、とのアドバイスがあった。

境界の調査が不十分なまま建物を建築した場合の起こりうるトラブルについて、略図を描いて説明する花上委員長。講義慣れしており説明も滑らか。土地家屋調査士(測量)を職業として選んだ理由が“数学と外業が好き”というのが面白い。

最後は『公共事業と土地家屋調査士(山口委員)』 聴講学生と年代が近いことからご自身の就職活動の体験談を始めに、混同されがちな測量士と土地家屋調査士の違いについて、また主に発注者や規模、費用の負担元の違いによる基本測量、公共測量、その他の民間の測量の区分けについての説明があった。

最後に登壇した山口委員。同じく就職氷河期に就職した、という自身の就職活動の体験談も披露。講師の中では最も若く、年齢が近い学生たちも親しみを覚えたのでは。

今回のセミナーを通し、関係者からは「就職活動に関係する内容だったので、皆真剣だった。セミナー終了後に学生から試験対策についていろいろ質問を受けた」(有野広報部長)との感想のほか「これをきっかけに課外授業ではなく本講義として不動産登記法を中心としたとした講義を1コマ、是非実現したい」(花上委員長)、「学生も色々な個性を持っている。講義する我々の側も異なる個性の人材をうまく織り交ぜたほうが、学生も面白いだろう。今後、他の大学にも広げたい」(上田副委員長)との意見、目標も聞かれた。 最後に、今では就職氷河期という言葉がすっかり定着してしまった感があるが、就職を控えた学生たちに対しては、今後希望する職業に就き充実した人生を送ってほしいと切に願うばかりである。今回のセミナーが学生たちの人生設計の一助になれば幸いである。

(写真・記事  広報部次長 中川 裕久)

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