平成24年度第1回会員・一般研修会

 平成24年9月3日(月)10時から17時まで、関内ホール(大ホール)にて「平成24年度第1回会員・一般研修会」が開催されました。

 海野敦郎 会長の開会の辞に始まり、第1部の講演は「神奈川版 『 調査・測量実施要領 』について」講師を石井幸世業務部理事が務め、まず始めに改訂の経緯について解説がありました。本会の要領を〈みどり本〉であるとする為に平成24年第73回総会議案上程にて議決・承認された旨の説明がありました。大きな内容として(補助者の使用責任)第13条について立会等という文言を追加され、本職が立会うことでしっかり説明責任を果たして頂きたいということです。

 登記基準点、PatchJGD、引照点測量、GPS測量、機器の点検等についても説明がありました。「調査・測量実施要領」は、会員をしばるものではなく会員の技術向上を計り、守られるよう作成されたものであり、内容の重要性について講演して頂きました。

 次に鈴木貴志研修部理事から、東京土地家屋調査士会発信文書(東調研発第22号)「二線引畦畔の地図訂正について(お知らせ)」に関連し、その背景にあるものを旧公図や旧土地台帳の写しを示しながら事例として説明がありました。一元化作業の際、登記簿上は本地に合算された外畦畔の扱いと公図の関係や、旧土地台帳時代の分筆作業など知識としての研修のほか、東調研発第22号をふまえ、神奈川県内の実務における二線引畦畔の取扱については、今後、本会業務部が横浜地方法務局と協議したうえ、随時その経過を会員に報告する旨の説明がありました。

 第2部講演は「業務におけるコンプライアンスとリスク管理」について、伊東昌彦総務部長から本会に申し出のあった会員の苦情などを例に話がありました。  苦情の内、最近の事例について処分がなされた例、処分とならなかった例について解説があり、もしも懲戒処分となった場合は官報やホームページにも掲載される。  実務に於いて不審感を与えたり苦情を引き起こさないよう、立会時の本人確認等の注意点は名字だけで確認するのではなく、フルネーム「神奈川 太郎さんですね」で確認する。ただそれだけのことで、我々のリスクを減らすことができると話がありました。

 次に三井住友海上火災保険㈱神奈川損害サポート部の平田誠一郎 氏より土地家屋調査士賠償責任保険の概要及び事例と解決内容について講演がありました。 大切なことは、委託者と受託者との契約内容をしっかりさせること。事故を起こさないことは言うまでもありませんが、仮に保険を利用して弁護士費用を賄う為には、後から請求するのではなく事前に保険会社の承認が必要になるので注意が必要です。

 最後に報酬債権回収の基礎知識について、堀口憲治郎弁護士から講演がありました。  委任(準委任)契約に基づく報酬債権は、原則として無償である為、有償とする為には、特約が必要である(民法648条1項)が、口頭での申込みと承諾で債権を請求できる旨。調査士の報酬も含め債権の消滅時効、裁判外の手続きによる債権回収の方法、裁判上の手続きによる債権回収の方法について講演していただきました。

 研修会の最後に餅田愼治副会長より閉会の挨拶があり、会員が研修を受講するのは義務ではなく権利であると告げ、研修会を終えました。今回の講演をしていただいた講師の方々、その準備をしてくださった皆様に感謝を申し上げます。

横浜西第二支部 内田 博之

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