高校生のための測量士補模擬試験 (湘南第一支部)

 平成26年4月26日の土曜日に藤沢市辻堂神台二丁目のココテラス湘南3階会議室で開催された、高校生のための測量士補模擬試験を取材しました。

 これは湘南第一支部の石垣博支部長が出前授業を実施した高校へ提案し、学校からご協力をいただき実施したものです。午前9時20分から12時まで本試験と同じ28問の模擬試験を行い、午後12時40分から3時まで解説が行われました。  受験者は神奈川県立の工業高校、農業高校の在校生(今回特別に卒業生が1名参加しました)で、向の岡工業高等学校、藤沢工科高等学校(以下、藤沢工科高校)、相原高等学校から計16名が参加しました。  このような企画は神奈川県土地家屋調査士会はもちろん、他の土地家屋調査士会でも例は無いと思います。

-終了後、石垣支部長に話を伺いました。-

(中川)お疲れ様でした。今回、測量士補の模擬試験を行おうと思ったきっかけは何ですか?

(石垣)出前授業を行っている藤沢工科高校の生徒の中で測量に興味を持ち、測量士補試験の受験を希望している生徒を集めて受験勉強のお手伝いをしているんですが、もっと幅広く、他の高校の生徒の面倒も見てもいいかなと思いました。昨年は2名の合格者を出したことから、もっと多くの合格者を出したいとの思いで企画しました。

(中川)受験勉強の手伝いとは?

(石垣)事務所の一室を開放し、生徒に勉強部屋として自由に使ってもらっています。分からないことがあればいつでも僕に質問できるし、こちらも仕事をしながら教えられるので都合がいいんです。生徒全員とLINEで繋がっており、夜は課題を出したりその解説をしてます。

(中川)へー。今回、試験問題は誰がどうやって作ったのですか?

(石垣)僕が過去問をベースに独自に作りました。著作権などの問題もあるし、第一自分が内容を充分把握していなければ、他人(ひと)に教えられませんからね。

(中川)えっ、28問全部?

(石垣)あ、一部竹下会員にも手伝ってもらいました。

(中川)よく作りましたね。ところで各高校への通知はどうしたのですか?

(石垣)問題作りは夜とか、仕事中にも作りましたけど、正直大変でした。解説は昨日ぎりぎりで間に合いました。通知は藤沢工科高校の出前授業を担当している先生が趣旨に賛同してくれて、他校にもアナウンスしてくれました。

(中川)学校の教室とか借りられなかったのですか?

(石垣)実は学校からそのような申出もあったのですが、やはり通いなれた教室で受験したのでは緊張感が出ないし、それに知らない場所で試験を受けるというのも本試験のトレーニングになると思い、あえてお断りしました。

(中川)受験のために会場までのルートを事前に調べるとか、早起きするとかも重要ですよね。ところで、土地家屋調査士の広報なのに、なぜ測量士補試験なのですか?

(石垣)土地家屋調査士の仕事は必ず測量が伴いますよね。それに測量士補の資格があると一次試験(午前の部)が免除になるのですが、ほとんどの受験者がまず測量士補の資格を取ってから土地家屋調査士の試験を受けるんです。測量士補試験は三角関数をきちんと理解して、しっかり勉強をすれば高校生でも合格できる。だったら測量に興味がある子は在学中に取ってしまえと。それに測量士補の資格は持っていて邪魔になるものではない。特に土木とか建築関係では役に立つ“万能資格”なんです。それで将来「土地家屋調査士になりたい」と思ったときには、測量士補の資格があるだけでハードルが下がる、土地家屋調査士にチャレンジしやすくなるというわけです。

(中川)無理強いではなく、まずは興味のあるものについて勉強する、というのはいいですよね。それに苦労して取った資格は大切にするでしょうしね。この資格をもっと生かしたいと思った時に“土地家屋調査士”が頭に浮かべばいいですね。

(石垣)そうですね。資格は“努力の成果”ですから、たとえ測量会社や土地家屋調査士事務所に就職しなくても、在学中に国家資格を取ったということは生徒たちにとって大きな自信になると思うんです。すぐに土地家屋調査士の受験者増加につながるわけではないですが、結果を急いではいけない。5年先、10年先を考えないといけないと思うんです。

(中川)なるほど。土地家屋調査士の受験者は年々減っていますよね。測量士補試験の合格をきっかけに、将来土地家屋調査士を目指す人材を確保したいですね。ところで今回は3校から16名の参加でしたが、それについての感想は?

(石垣)まったく不満です。もっと参加者を増やしたいです。

(中川)えー、大変でしょう?自分の仕事もあるし。石垣さんにとって出前授業とか、今回の模擬試験とかって何ですか?

(石垣)僕にとっては娯楽というか趣味ですね。ゴルフとかも好きなんですが、それと同じです。高校生は皆純粋ですし、僕の説明を素直に聞いてくれて、問題が解ければ喜んでくれる。それがうれしいんです。

(中川)そうですか。今日は一日ありがとうございました。

 今回実施するにあたり、各学校への連絡や希望者募集などで多くの学校関係者の方々からご理解とご協力をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 参加した生徒たちが測量士補試験に合格し、さらに将来その中から私たちの“後輩”が誕生することを期待したいと思います。  

- 当 日 の 写 真 -

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会場のココテラス湘南。左の建物は 土地家屋調査士の聖地、法務局。

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模擬試験について説明する石垣支部長と 16名のチャレンジャー達(内、女子2名)。

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奥から順に、マークシート式の解答用紙、問題、解説。解説は29ページからなる超大作。正解部分と説明が赤色で印刷され、分かりやすい凝った物でした。

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休憩時間に解答の集計と正解率を計算する支部会員。左から小菅誠会員、石井公治副支部長、嶺岸清信副支部長。「スタッフがいてくれると本当にありがたい」と石垣支部長。

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午後はプロジェクターを使っての解説。 話し好きな石垣支部長、すぐに話しが脱線するため時間が足りず、最後の方は超特急。試験と解説の時間配分については多少課題が残りましたが、皆真剣に聞いていました。

(記事・写真 広報部長 中川 裕久)

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