空家等対策の推進に関する特別措置法」施行に伴い、横浜市を皮切りに県内の複数市に協議会が設置されました。協議会には神奈川県土地家屋調査士会の会員が委員として参加し、活動しています。 また神奈川県が中心となり「神奈川県空き家対策行政実務者会議」が定期的に開催され、市町村同士の情報交換も行われています。しかしこれまで、空家問題に関して県、市町村と法務局との接点はあまりありませんでした。 そこで広報部では法務局、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の5者による情報交換会を企画、開催しました。概要は以下の通りです。 開催日 平成28年3月18日(金) 14:00から16:00 場 所 神奈川県土地家屋調査士会館 3階会議室 参加者 法務局 佐野勝也 様(不動産登記担当首席登記官) 沼田政行 様(権利登記担当統括登記官) 布施武男 様(統括表示登記専門官) 神奈川県 牧野 勉 様(県土整備局建築住宅部住宅計画課 民間住宅グループ副主幹) 横浜市 吉原綾子 様(建築局建築安全課担当係長) 関 優 様(建築局建築安全課担当) 波多野陽介様(建築局企画部企画課担当係長) 小杉理理子様(建築局企画部企画課担当) 川崎市 中村和美 様(まちづくり局市街地開発部住宅政策担当課長) 皆川悟史 様(まちづくり局市街地開発部住宅政策担当係長) 相模原市 柿澤智雄 様(市民局生活安全課副主幹) 細谷遼太郎様(市民局生活安全課担当) 土地家屋調査士会 岩倉弘和会長、佐川祐介副会長、 石井幸世副会長(空家等対策特別措置法プロジェクトチームリーダー)、 中川裕久広報部長、上田尚彦広報部次長 司会進行 上田尚彦広報部次長
![]() 空家対策の現状(3月18日現在) 法務局 一定のエリアを指定して、その区域の登記情報をまとめて データで提供することが出来る(注1)。 担当窓口は本局にあり、市町村からの直接の問い合わせも 受け付けている。 また、各支局、出張所にも連絡担当者を置いている。 神奈川県 県内市町村の担当者と「神奈川県空き家対策行政実務者会議」 を定期的に開催している。 また県民に対し、空家の利活用などについてのセミナーを 開催するなど、啓発活動を行っている。 横浜市 「空家等対策計画」を策定済。以前から苦情があれば、 所有者を調査し指導するなど対策は行っていた。 各区役所で苦情を受け付け、その後建築局へ引き継ぎ対応する 体制をとっている。 川崎市 本日、条例案が可決したため、協議会を設置する予定。 市内の空家は賃貸用が多い。 空家の実数の把握に水道の閉栓情報を活用した。 各区役所が相談を受け付ける体制をとっている。 相模原市 「空家等対策計画案」のパブリックコメントを募集中。 利活用については不動産の業界団体と既に協定を結んでいる。 対策計画案は対策の方向性を示したもので、具体策は これから検討する。 今後は特定空家の定義の検討と庁内各部署の連携を強化する予定。 (注1)データ形式はCSVファイルになります。土地の区画が不明確な 場合や、広大な土地に複数棟建物がある場合など、広範囲に調査しないと 建物の位置が特定できない場面での活用が考えられます。
![]() 空家の苦情対応などでの問題点、課題 ・東日本大震災では被災した建物の滅失登記を法務局が職権で行った。 大きく破壊され、通常は滅失扱いの建物でも修復することを望む 所有者もいた。所有者の意思の確認が重要であった。 ・所有者の特定が困難な場合があり、特に相続登記がなされていない ケースが問題となっている。 ・権利に関する登記は申請義務がなく、これを義務化することは法律の 根幹から変えなければならず、無理である。 ただ、所有者不明の空家になることを防ぐためにも、相続登記を行う よう啓発活動することは必要かもしれない。 ・借地で複数棟建物が建っているような場合は、建物の特定が困難である。 ・空家の中には登記がされていないものや確認申請の不備があるものがあり、 中古住宅としての流通の妨げになっている。 ・昭和40年代前半くらいまでは自費で建築する人が多かった。 そのような場合は登記されないことも多く、空家になるような古い建物は 未登記である場合が多いのではないか。
![]() 空家対策は市町村によって担当する部署が様々で、また関連する部署も多肢にわたりますが、登記制度になじみの無い部署も多く含まれています。 そこで神奈川県主催の「神奈川県空き家対策行政実務者会議」に法務局を招き登記制度についての講義を行うことを提案し、法務局、神奈川県双方の賛同を得ることが出来ました。これをきっかけに法務局と神奈川県や県内の市町村との連携が深まることを期待したいと思います。 (記事・写真 広報部長 中川 裕久)
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