平成27年11月14日(土)から15日(日)の2日間にわたり、神奈川県土地家屋調査士会館の研修室を会場に、境界問題相談センターかながわ(以下、センター)において相談員・調停員を務める土地家屋調査士会員を対象とした研修会が開催されました。 センターとは、土地の筆界に関する民間紛争について、当事者の話し合いによる解決をサポートするために設立されたもので、筆界の専門家である土地家屋調査士と法律の専門家である弁護士が共同して相談や調停にあたっています。その他、センターの業務等について、詳しくは、こちら(センターのホームページへリンクします。)を参照してください。 講師は、神奈川県司法書士会調停センターの事務長であり、調停人養成講座の講師等も務められる、司法書士の稲村厚先生をお招きしました。先生は、司法書士業務のかたわら、大学院で教育ファシリテーション専攻課程を修了された方であり、今回の研修会では、同じ大学院で学ばれ、カウンセラーやインストラクターとして活躍されている花井睦子先生と今村恵理先生がサポート役として参加されました。 研修の目的は、センターで行われる相談や調停において必須となるコミュニケーション技術を習得することですが、センターでは、このような相談員・調停員の技能向上のための研修を毎年実施しております。相談や調停に訪れる当事者から問題となっている状況を的確に把握し、両者に納得のできる解決策を話し合いにより導き出すためには、欠かせない技術ですが、今回も、「聞く」「伝える」ということについて、専門的な「理論」よりも、ロールプレイ等の数々の課題をこなすことによって得られた「体験」を通じ、参加者個々人の「気づき」によって具体的に体得することに重点が置かれました。 2日間にわたるプログラムの詳細をここにご紹介することは省きますが、筆者にとっては、まさに目から鱗が落ちる思いとはこのことで、コミュニケーションについて、経験的になんとなく解っているつもりだった身には、カウンターパンチの連続でした。土地家屋調査士の業務では、隣接地の所有者など、依頼者以外の利害関係者と接する機会も多く、コミュニケーションについては否が応でも日常的に場数を踏むことになりますが、個人に経験できることには、やはり限りがあります。“コミュニケーションについて学ぶなんて、何をいまさら?”と思われた土地家屋調査士会員にこそ、是非にも体験されることをお勧めします。日頃の業務においても、きっと、何かが変わります。
稲村先生を囲んでの、講義風景。
グループに分かれてのロールプレイの後、グループごとに
話し合いの結果や気づいたことなどを発表し合います。
花井先生と今村先生を申立人・相手方役とした調停の実演。
迫真の演技に調停人役となった受講者はタジタジでした。
他の受講者は、それを観察し、その時々に変化していく、
言葉や態度など、気づいたことを書き留めていきます。
最後に、グループに分かれての調停ロールプレイも行われましたが、課題に熱中するあまり、写真撮影を忘れてしまいました。 (記事・写真 副会長 佐川祐介) |