平成27年4月4日の土曜日と5日の日曜日に湘南第一支部の石垣博支部長が行った、高校生のための測量士補講座の1日目を取材しました。講座の概要は以下の通りです。 1日目 日 時 平成27年4月4日(土)午前9時~午後1時 場 所 藤沢市藤沢607番地1 藤沢商工会館ミナパーク 507会議室 (JR藤沢駅北口徒歩5分) 参 加 校 神奈川県立相原高等学校、神奈川県立神奈川工業高等学校、 神奈川県立藤沢工科高等学校、川崎市立川崎総合科学高等学校 参加人数 13名(男子8名、女子5名) 2日目 日 時 平成27年4月5日(日)午前10時~午後3時 場 所 横浜市西区楠町18番地 神奈川県土地家屋調査士会館 3階会議室 (JR横浜駅西口徒歩20分。または横浜駅西口地下街C階段を上り、 6番もしくは7番乗り場からバス乗車、浅間下バス停下車。 浅間下交差点より約50m) 参 加 校 神奈川県立磯子工業高等学校 参加人数 5名(男子5名) 内 容 ・測量士補試験の過去問を題材に解説を行う。 ・1日目、2日目とも内容は同じ。
会場となった藤沢商工会館ミナパーク。藤沢駅から徒歩約5分の好立地。
トラバースの方向角計算について解説する石垣支部長と、真剣に聞き入る13名の生徒たち。ちなみに最前列は“測量女子”5名。
湘南第一支部では昨年辻堂で、高校生を対象に測量士補の模擬試験を行い好評でしたが、今年は場所も内容も変更されたため、経緯について再び石垣支部長に伺いました。(昨年の模擬試験の様子はこちら)
【実施にあたって】 (中川)お疲れ様でした。今回模擬試験にしなかったのと、2日間に分けた理由は何ですか? (石垣)去年の模擬試験は解説の時間が不十分だったので、今年は思い切って解説だけにしました。場所を変更したのは、神奈川県全域を対象にしているので、会場をばらけさせた方が生徒達が参加しやすいと思ったからです。それと、曜日を変えて都合の良い日を選べるようにすれば、部活とかとの調整もしやすいですからね。 (中川)なるほど。今は春休み中ですが、そういえば出前授業を行った学校の先生が「試験勉強に一生懸命な子は部活も熱心なんですよね」と言っていました。 僕が取材した1日目は13名の参加でしたが、それについての感想は? (石垣)びっくりです。4、5人を予想していたので、会場がちょっと狭くて申し訳ないことをしました。横浜会場の方が多いかと思ったんですが。 (中川)調査士会館は駅から遠いからでしょうか。藤沢会場は駅に近くてわかりやすかったです。今回、学校への広報は? (石垣)去年と同じく藤沢工科高等学校の先生が協力してくれましたが、今年、神奈川工業高等学校に関しては横浜東支部の富山支部長が直接連絡し広報してくれました。 (中川)学校の理解があって本当にありがたいです。それと支部同士の協力も広報部としては大変感謝しています。
【感想、反省点など】 (中川)生徒達を見て思ったんですが、やはり自分から希望して参加しているだけあって、皆真剣ですよね。 (石垣)そうですね。たぶん参加者の中から何人か合格者が出ると思います。ただ、理解度にバラツキがあるというか、各生徒がどの位理解しているのかが分からないので、難しいなと思いました。深く理解している生徒にとっては、今回の講座は易しすぎたかもしれません。 (中川)反省点というか課題の一つですね。 (石垣)あと、時間がぜんぜん足りませんでした。もっともっと話をしたい。法規についても話したい。ジオイドや地図についても話せませんでした。本当はまる1日やりたいのですが、そうすると気軽に参加できなくなってしまうので、悩むところです。 (中川)石垣さんの解説を聞いて思ったのですが、教え方が独特ですね。座標値があって「面積を求めろ」と言われれば、普通は座標面積計算をすると思うんですが、石垣さんは「図形を書いて補助線を引けば、三角形と台形の面積で求められる」という説明でした。 (石垣)もちろん座標面積計算じゃないと求められない場合もありますが、まずは絵を書いてみる。それで補助線を引けば「なんだ、直角三角形が出来るじゃん。直角三角形ができれば関数表が使えるよね」ってなる場合が多いんです。 (中川)でも、それって“測量”からすればちょっと邪道かな。 (石垣)「計算式を暗記して、それを使って機械的に答えを求める」っていうのが普通ですが、生徒のやる気、モチベーションを高めたいんです。それにはまずどんな方法でも答えに辿り着く、そうすると達成感が味わえる、というのが大切だと思うんです。 (中川)山に登るのに「北側のルートで登るか、南側のルートで登るか」の違いですね。測量が嫌いになってしまっては元も子も無いですから、まずは頂上に立つ。そうすると「今度は違うルートで登ってみるか」となる、というわけですね。 あと石垣さんの話で印象的なのが「自分が出した答えの数字と、問題に書かれている選択肢の数字とが、小数点以下の末尾まで一致しなくても気にしてはいけない。それらしいものがあれば、それが正解だ」という一言です。 (石垣)測量には誤差が伴うし、四捨五入なんかの関係で一致しないことは有り得ます。求め方が違えば尚更です。でも、まじめな子は「どこかで間違った」と思って、ぴったり合うまで計算し直してしまうんです。そうすると時間が足りなくなる。もったいないです。
【広報活動の課題など】 (中川)毎年高校で出前授業を行って、それなりに広報の効果は上がっていると感じます。ただ、先生から「測量関係は求人が無いんですよね。だから測量士補試験も生徒に薦めにくいんです」という話がありました。せっかく測量に興味を持っても、働き口が無い。その辺は大きな課題ですね。 (石垣)確かに土地家屋調査士事務所は自営業なので社会保障などが不十分なところはある。求人があったとしても学校としては就職先として勧めにくいでしょうね。ただ、何度も言うように資格は持っていて邪魔にはなりません。土地家屋調査士試験はハードルがかなり高いですが、測量士補試験なら高校生でもチャレンジ出来る。測量会社や土地家屋調査士事務所にこだわる必要は無いと思うんです。だけど、優秀な生徒はいます。少しずつですが会員の中から「高校生を雇って育てたい」という意識が出始めています。 (中川)僕の義兄が水道会社で働いているんですが、測量が好きで関数電卓片手に仕事で逆打ちなども行うそうなんです。就職先が土木建築関係なら測量士補は持っていても損は無いでしょうね。広報部としては土地家屋調査士資格を広報すべきなんでしょけど。でも、石垣さんのやり方は遠回りかもしれないけれど、現実的かもしれません。ところで、今後の予定は? (石垣)本試験の1週間前くらいに模擬試験をやりたいです。 (中川)えー。そのバイタリティーはどこから来るんですか?どうしてそこまで。 (石垣)趣味です。試験問題も僕にとってはゲームみたいなものです。 <<話の途中で、今回参加した生徒からLINEでお礼のメッセージが届く>> (石垣)うれしいですね。試験問題の写真を添付して質問してくる生徒もいるんです。呑んでいる時だとすぐに答えられなかったりするんですが。 (中川)そうですか。今日は、どうもありがとうございました。 各学校への連絡や希望者募集などで多くの学校関係者の方々と支部長からご理解とご協力をいただきました。改めて、御礼申し上げます。 (記事・写真 広報部長 中川 裕久)
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