平成24年3月12日(月)横浜市西区北幸1丁目11番15号横浜STビル6階、全日本不動産協会神奈川本部・横浜支部会議室において、全日本不動産協会横浜支部主催の研修会が催され、70人と定員いっぱいに協会の方が出席されていました。
研修会議題は「筆界特定手続の利用について」講師は神奈川県土地家屋調査士会餅田慎治副会長が担当しました。
初めに、不動産協会横浜支部田邊賢一役員より「筆界と所有権界の区別が付き兼ねているところがります、今回の研修で餅田先生にご説明いただいて、問題を解決したいと思います」との開会の挨拶がありました。
講義の初めに「土地家屋調査士と測量士の違い」について、理解しやすいように条文を要約して説明をしました。
本題に入り、土地の筆界と所有権界の違いについて、又、境界の決め方について「当事者による筆界確認」「筆界特定制度」「筆界確定訴訟」「裁判外紛争解決手続(ADR)」それぞれ詳細な現況見取り図を用いて解説が行われました。
筆界特定制度の特徴について1.法務局(筆界特定登記官)が特定する2.土地所有者の登記名義人等の申請により開始3.筆界調査員という外部の専門家を活用4.職権で資料収集ができる5.訴訟の審理において筆界特定に関する資料の活用6.所有権界は決められない7.測量の費用は原則申請人の負担8.簡単、迅速9.特定された境界点には境界標は入れない、など分りやすく説明をしました。又、測量費用についても触れ、一筆全体測量、場合によっては広範囲の測量が必要になることもあり、測量費用がそれなりにかかってしまうことに理解を求めました。
裁判外紛争解決手続(ADR)については「紛争当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続」である、そして、筆界特定制度から裁判外紛争解決手続(ADR)の流れなどについても説明をしました。
そして、隣接土地と筆界が確定されていない場合、道路境界が確定していない場合など不動産売買、建物新築の際どのような問題が起こるかなどの事案を挙げて解説が行われ、受講者の方々には日常的に直接かかわりのある講義内容に真剣に耳を傾けていました。
餅田副会長は「土地の境界に関する事項については、もっと土地家屋調査士に責任を持たせる必要がある、一つの提案として、重要事項説明書に筆界確認の経過などを取り込んではどうですか、将来的には重要事項説明書への共同署名などはどうですか」と土地家屋調査士を積極的に活用するよう締めくくりました。
最後に受講者からの質問を受け、「筆界特定制度では境界標を設置しないとありましたが、筆界確定訴訟を起こさないといけないのか」「隣接の土地の所有者(会社)が倒産し、所有者が不明である時などはどのようにしたらよいか」「筆界特定において境界を範囲で指定された場合、分筆ができず売買に支障が出てしまうことになる、どのようにしたらよいか」などの難題と思われる質問がありました。
今回の研修会は、不動産協会の方に筆界特定制度の理解を深めるだけでなく、筆界と土地家屋調査士業務のかかわり方を理解していただけたと思います。
不動産協会の会員の皆さん、餅田副会長休息なしの2時間の講義お疲れ様でした。
広報部 野口幸秀
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