不登法14条1項地図は、平成15年6月内閣に設置された都市再生本部から「民活と各省連携による地積整備の推進」指針が示され、法務省と国土交通省が連携し、法務省は都市部の地図混乱地域を10年で100K㎡の地図作成を計画しました。その後国土交通省からの地図と現地のずれの調査結果を受けて、平成20年に新たに10年間で130K㎡の地図を作成する事になりました。横浜地方法務局では、平成16年から地図作成作業を実施してきており、更に範囲を拡大実施中の事業と横浜地方法務局五木田首席登記官から挨拶がありました。また挨拶の中で「都市的な土地利用が急激に進み、その当時、宅地造成にかかる分筆は、公図の精度や形状があまり考慮せずに繰り返された結果と考えられ、その結果、現地と公図が符合しない状況になったと思われる」とありましたが(宅地造成にかかる分筆の大多数は土地家屋調査士が絡んでる。こりゃ調査士は労を惜しんじゃいけない。手伝わなければ)と思いました。
取材は地権者出席予定数600名と多い、2月25日(土)綱島地区センター体育館で開催された新吉田東地区の説明会に伺いました。当日は、昨夜からの雨は止んだものの肌寒い日でしたが、午後1時の受付開始から大勢の地権者が訪れ、関心の高さが窺えました。説明会は午後2時と4時からの2回に分けて行なわれ300名を超える参加がありました。2回とも、法務局職員11名が丁寧に会場の案内を行い、参加者は地図整備作業の説明に熱心に耳を傾けていました。
地図整備作業の説明は五木田首席登記官から挨拶の後、14条地図作成事務所吉田博昭所長から地図が整備されると不動産の円滑な取引やインフラ整備に役立つメリット、4枚の配布資料を基に現地調査・測量・立会い・縦覧期間など作業工程に沿った完了までの説明と、境界が成立しないと「筆界未定」の処置を受け、その後、地権者の負担が発生する不利な状況になると、住民側に立った懇切丁寧な説明がありました。
現場作業については、業務を受託した神奈川県公共嘱託登記土地家屋調査士協会越智理事長から「過去、横浜・川崎・横須賀の3市15地区で筆界未定はわずか、ほぼ100パーセントの達成率です。これは法務局・住民の協力と公嘱協会との三位一体の結果です」現場を積み上げた自信溢れる挨拶の後、小笠原・伊藤理事から敷地立入りや境界立会いなどの地図作成作業の他「境界を確認し地図作成の測量費用は国で負担、境界標は住民負担、隣地と折半してなるべく入れて」と「杭を入れて悔いを残さず」コンクリート杭・プレート・鋲など境界標の見本を展示して、埋設費用など住民負担の説明もありました。
14条地図作成現地事務所は4月に現場近くにオープン予定で、今は電話番号も未定ですが、面談した吉田所長初め4名の職員ならび公嘱協会役員の意識は高く、公嘱協会横浜支所構成社員の活躍を期待したいと思いま
す。
3月から筆界調査・現況測量が始まり、5月から一筆地立会い・一筆地測量など夏の暑い時期を過ぎて、来年1月に登記申請までの長丁場です。筆者も川崎市井田地区で14条地図作成に参加しましたが、自分の仕事と同時進行は時間・労力とも大変でした。関係者は自傷事故防止に留意し「筆界未定ゼロの達成」地域住民に「やってもらって良かった」と感謝され、達成感の溢れる14条第1項地図作成事業であって欲しいと思います。
まとめに法務省の10年計画によれば、横浜管内の14条地図作成作業は今後も期待できますが、官公庁発注について競争入札の結果は散々たるものと思います。私達は発注者側の業者選定のあり方に期待して、予算に見合った成果を上げる努力と業務研鑚の手間を惜しんではならないと思います。そして法務省から「14条地図は土地家屋調査士」国土交通省からも「地籍調査は土地家屋調査士」でなきゃできない!と言われたいものです。
広報部長 有野拓美