12月6日神奈川県公嘱協会研修会 |
平成23年12月6日火曜日、藤沢市民会館小ホールにおいて、神奈川県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下、神奈川県公嘱協会)主催の研修会が開催されました。
冒頭、神奈川県公嘱協会の越智眞琴理事長から挨拶のなかで、被災地の状況についての話がありました。被災地は、今なお復興までの道筋をつけることもままならない惨状であり、このような状況下で我々土地家屋調査士がどのように社会貢献していくことができるのか、さらに真剣に考えていきたいとのことでした。
次に、社団法人日本国土調査測量協会技術専門委員の千葉二氏から、地籍調査について講演がありました。
今回の地震に伴い、神奈川県下においても公共基準点や街区基準点等の基準点の位置が地盤の変動により、基準点の使用が停止となっている状況にあります。東北地方の地震の被害が大きい地域では尚更地盤変動が大きく、例えば、川崎市では基準点の座標値が北東方向に20㎝前後動いているが、福島県女川では5m以上もの変動があり、さらには、震源直下の海底では24mの変動があったとのことでした。
この基準点の変動について、実務上、座標値をパラメータ変換することによって対応することができるのか、再測が必要になるか。これらについて、今後検証していく予定であるとのことでした。
被災地では道路境界の復元などは、ほとんど手付かずであり、どこから手をつければ良いか、という中ですが、今回の被災地は地籍調査がかなり進んだ地区が多く、これら地籍調査に係る図面を基に、必ず復興を成し遂げることができるだろう、とのお話でした。
その後、千葉県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(以下、千葉県公嘱協会)の小山進吾理事長より、千葉県内の被災状況についてお話がありました。
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千葉県においては埋立地での被害が非常に大きく、海浜幕張駅周辺地区などでも未だ完全には復旧していないとのことでした。浦安市では、当初、約400~500棟と見込まれた建物倒壊件数が、実態調査の結果は4000~5000棟とほぼ10倍の件数になり、この中で全壊は数パーセント、ほとんどが地盤の液状化によって建物が傾いてしまったものであるとのことでした。浦安市だけでもこのような件数となってしまった建物の滅失登記申請について、千葉県公嘱協会の社員約300名で行っているそうです。
小山理事長は、「調査士として仲間同士の絆を深め、復興に寄与していきたい、神奈川県内の先生方にもご協力いただけることがあればぜひご協力いただきたい」として公演を締められました。
最後に弁護士の岩渕正紀先生より、判例の読み方について講演がありました。判例は、判決、主文、理由と続くこと、理由については、一番大きな単元が第一、第二であり、一、二がその次、(1)(2)、アイと続くということ、判例時報には最高裁判所調査官が執筆する説明文があるため非常に読みやすくなっていることなどのお話がありました。
今回は研修のテーマが社会的にも非常に関心を持たれているものであり、神奈川県公嘱協会の社員である会員だけでなく、各官公庁の職員の皆様も非常に多くお集まりになり、熱心にお聞きになっているようでした。
湘南第一支部 後藤 宏史 |