「 大  工 」

県央支部の古郡英隆です。私は平成13年の試験で合格し、14年の1月に登録をし開業して今年で7年目になります。今年初めて支部の役員になり、広報委員をやらせていただくことになりました。
開業して7年と言いましたが、調査士業はまだ10数件しか仕事をしていません。他の調査士事務所に勤めたこともなく、ただ試験に合格しただけです。こんな自分が仕事を請けてもいいのかな?と今もよく考えさせられます。なのでこの前仕事で間違えをして他の調査士のかたに叱られてしまい迷惑をかけてしまいました。
みなさんの中にも調査士業だけではなく、司法書士や行政書士、建築士など調査士専業ではなく、兼業でやっている人が多いと思います。
私も兼業で、主にやっているのが大工です。
 義父が経営する工務店に入り大工の修行をしながら、夜間資格の学校に通い、宅建、二級建築士、測量士補、土地家屋調査士と取得し、土地探しから建築、登記までと言う、注文住宅建築をやっていますが、この不況で現在はハウスメーカーの下請けばかりです。  
 今の住宅というのは熟練の大工じゃなくてもできるような、すべて機械で加工されたものを組み立てるといった感じです。私が大工を始めた頃は、下小屋で材木に墨付けをし鋸(のこぎり)や鑿(のみ)できざみ、鉋(かんな)で柱を削り、休み時間は常に研ぎものをしていました。
建て前までの下小屋での墨付け、きざみには坪あたり1人工、30坪の家で一人の大工さんが30日かかり、建て前から木工事完了まで坪あたり2〜3人工くらいかかっていたのが、今は墨付け、きざみがなくなり工場でのプレカットがほとんどです。工期も短縮され、基礎工事から完成まで4ヶ月かかっていたものが、早ければ1ヶ月でできてしまいます。大工さんがきざむと間違えたりもしますが、プレカットだと間違えもありません。お客さんにとってはいいことだと自分は思います。早くできて間違えもなく価格も安くなってると思います。昔はそれだけ大工さんの手間が高かったということかもしれませんね。
価格競争ではハウスメーカーにとてもかなわないので、うちの工務店はほかとはここが違うといえるようなものを建てています。土地探しから設計施工、登記までを自分が行いお客さんと信頼関係を築いていくということです。
土地家屋調査士業も前は報酬基準がありましたが、今は入札価格も基準の4割をきり価格競争の非常に厳しい時代だと思います。調査士業にとって他者とはここが違うというようにするにはどうすればいいんでしょうか?価格?仕事の速さ、正確さ?どうすれば生き残っていけるんでしょうか?まだまだ日々勉強です。

(神調報H22.1月号掲載) 県央支部 古郡 英隆
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