カブト虫
今年のお盆に親戚の子供達がカブト虫やクワガタを探しに行きたいというので、私は子供の頃以来数年ぶりに子供達を連れて山に探しに行く事になりました。
山と言いましても、私の事務所・自宅共に小田原の山まではさほど離れてなく、車で5〜10分もいけばカブト虫がいそうな所にすぐ到着する距離という事もあり、子供達3人をお散歩がてら気軽に連れて行きました。
子供の頃の記憶をたどりながら車を運転して行くと、当時のままクヌギの木があり、「こういう木にカブト虫が集まるんだよ〜。」なんて、ちょっと知ったかぶりして説明してみたものの、あたりを探してみてもカブト虫らしい姿が全く発見できません。

 子供達は、すごく期待していた様で「いないの〜?なんでいないの〜?」と、とても残念そうな顔をしながら聞いてきました。そんな子供達の顔を見て、最初は軽い気持ちで連れてきたのが、知ったかぶりして説明してしまった手前「せめて・・1匹でも・・」という気持ちに変わり、場所を移す事にしました。

 
車で少し離れた所に到着し更に奥へ奥へと山道を歩いていくと、子供の頃遊んでいた変わらぬ風景が目の前に広がり、非常に懐かしく嬉しくなりました。子供に戻ったような感覚で少し無邪気な気持ちになっている反面、果たしてカブト虫はまだこの辺りにいるのだろうかという不安感もあり、日常の生活や仕事では中々味わう事の出来ないワクワク感がありました。
そして、広く目を凝らして探していると黒いものが目に入り、「いた!!」と私が言うと子供たちが一目散に指をさした方向に走って行き、気付けば私も子供達と一緒に走り出していました。カブト虫を無事1匹発見する事ができ、なんとか面目は保てたと安心したのもつかの間、「もっと、もっと〜!!」という子供達の声に負け、もう少し探してみる事になりました。すると幸運にも少し歩いただけで3匹立て続けにカブト虫を発見でき、意外とまだまだ小田原にもカブト虫がいるものだなぁと思いました。



子供達もやっと満足し、帰ろうと歩いていると1人の子供がクワガタを見たいと言い出しました。そういえば今日は、カブト虫しかお目にかかれず、クワガタがいない事に気付きました。思い起こしてみると子供の頃山に行くと、カブト虫は滅多に発見できず、クワガタばかりであった事を思い出しました。(確率的にはカブト虫:クワガタが2:8位でした)この日は、そのままクワガタは諦めて帰ったのですが、どうしても気になってインターネットで、クワガタが減少しカブト虫が増えているのかを調べてみました。
いろいろ調べては見たのですが、結局はクワガタだけが減少したという点についてはよくわからず、その後知人と話をしている際、カブト虫の話になり、やはり私が今回探していた付近ではクワガタがいなくカブト虫ばかりだと私と同様に感じているという話を聞きました。また、隣の南足柄市では逆に子供の頃同様今でもクワガタが多く見つかるそうです。てっきり私は、ここ数年騒がれている自然環境の変化の影響で、ミツバチの減少の様に原因不明の生物の減少を実感してしまったかなどと思いましたが、すぐ隣の市ではクワガタがまだたくさんいるそうなので、クワガタの減少について調べてみてもよくわからなかった理由がわかりました。地域的にたまたま少なくなっているのか、エリア的にクワガタのみを狙った採集する人がいるのか、ただの気のせいなのか、などと考えさせられた夏休みでした。

(神調報H21.10・11月号掲載) 県西支部 山口 宏幸
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