全国一斉表示登記無料相談会

日時 平成22年10月9日(土)午前10時〜午後4時
場所 神奈川県土地家屋調査士会館

「こちらで受付票に記入してください」「3階の相談室へどうぞ」。調査士会館の2階で受付を済ませた相談者を案内係が空いている相談室に手際よく振り分け、法務局登記官と土地家屋調査士の相談員が2人1組で次々と相談を処理していく。


10月9日の土曜日、横浜市西区楠町の神奈川県土地家屋調査士会館において、神奈川県土地家屋調査士会と横浜地方法務局共催による無料の表示登記相談会が開催された。これは表示登記制度創設50周年と土地家屋調査士制度制定60周年を記念した事業の一つとして法務省と日本土地家屋調査士会連合会とで計画され、全国の土地家屋調査士会で同日一斉に行われた。

神奈川会では毎週水曜日の午後、前もって予約を受け付ける形で無料登記相談を行っているが、予約不要の今回の相談会は事前に相談者数の予測が出来ないため、3組計6名の相談員を配置し、また3組の内1組は主に筆界特定制度とADRに関係する相談に対応する、という万全の体制がとられた。小雨が降る悪天候にもかかわらず、事前に県内の法務局や会員事務所などに相談会開催を知らせるポスターを掲示し、新聞にも広告を掲載したこともあり、午前10時から午後4時までの開催時間内に10余名の相談者が訪れた。


相談会終了後、調査士会理事の一人は「雨天で相談者が何人来るか心配したが、結果的に9組の相談があり、成功と言えるのではないか」と話す。また「法務局と協力しての登記相談は画期的であり、今回の試みは大変意義のあるものだった」との意見もあった。

しかし、開催にあたりいくつかの課題も明らかになった。当初は神奈川県内14の支部でも同時に相談会を開催する予定だったが、人員と場所の確保が出来ずに開催を断念した支部もあった。これには支部独自に毎年相談会を開催していた支部とそうでない支部とで経験の差が大きく影響したようだ。また、不特定多数を対象にしたボランティアの色合いが強い登記相談に不慣れな会員も多く、神奈川会の900余名の会員のすべてが無料相談に積極的とは言えず、支部ごとの温度差も感じられた。

しかしながら、“国民の相談に耳を傾け、専門知識を駆使して解決の糸口をアドバイスする”という無料登記相談はサービス業である土地家屋調査士本来の姿と言えるのではないだろうか。長引く景気低迷と、それに伴う税収の落ち込み、また少子化による社会構造の変化で宅地分譲など不動産関連会社からの“業者物件”や地方公共団体等が行う公共事業に関係した“役所物件”が減少する中、今回の無料登記相談会は土地家屋調査士の『原点回帰』だと思うのだが、いかがだろうか?



(写真・記事  広報部次長 中川 裕久)

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