平成22年度 第2回 新入会員研修会

平成23年3月5日(土)に神奈川県土地家屋調査士会館の研修室にて平成22年度新入会員研修会が行われました。受講者は登録1年以内の会員が対象で、これは調査士会の会則に規定されている研修です。内容は午前の第1部が2時限、午後の第2部が3時限の計5時限で、15名の参加者がありました。

1時限目は『土地家屋調査士倫理規程』 講師は佐川研修部長。主に専門家としての倫理についての説明がありました。講義は一方的に話をするのではなく、受講者にも次々と意見が求められ、緊張感のある研修でした。筆者は登録して10年になりますが、実務が長くなると測量の技術的な事や実務上のテクニック、例えば測量器の性能やら測量の方法、書類の作成の仕方などに興味が集中しがちになります。しかしながら、倫理は国民の信頼の上に成り立っている我々土地家屋調査士にとって、もっとも基本的かつ、重要な事であると再認識しました。




2時限目は『事故の予防と対策』 講師は伊東総務部長。土地家屋調査士会や法務局へ苦情が持ち込まれた案件や、注意勧告、懲戒処分などに発展した案件など、実例を基に講義がありました。これは受講者にとっても大いに興味のあるテーマのようで、受講生は真剣に聞き入っていました。中には運が悪かったと思えるような案件もありましたが、どの案件もトラブルの最初のきっかけは些細なことで、基本に忠実に処理していれば防げたかもしれない案件がほとんどだと思えました。



3時限目は『業務からみた報酬の考え方』 講師は餅田副会長。プロジェクターを使用し、事務所を維持していくための報酬額の考え方の講義がありました。筆者も新入会員研修会で報酬額の講義を受けましたが、当時はまだ報酬額の基準が決められていたため、作業項目の数量の数え方の説明だったと記憶しています。数量さえ正確に拾えれば、後は機械的に報酬額が計算できた時代でした。しかし、現在は報酬額の基準が撤廃され、すべて自分で決めなければいけません。これは初めて事務所を開設した会員にとっては、果たしてどのくらいの日数で業務が完了するのか、年間どの位経費がかかるのかが分からず、苦労するところでしょう。このような研修は大切だと感じました。



4時限目は『会員としての心得』 講師は平野研修部次長。会員必携に基づき、各種届出手続きや会員のルール、ホームページの利用、保険などについての講義がありました。
5時限目は『土地家屋調査士業務についてのグループ討論』 講師は柳田研修部理事と諸星研修部理事。研修内容を再確認するための小テストと、例として用意された測量と分筆登記の事案を元に、作業の進め方や注意点について受講生を交えて意見を述べ合いました。資料として実際の図面や現場写真も用意され、大変実践的な研修でした。
取材を通じて感じたのは、筆者がかつて受講した新入会員研修会と比べると、時間的にも内容的にもかなり充実しているというのが全体の印象でした。

最後に筆者からも一言。研修でも触れられましたが、私は常々不動産に関する紛争を未然に防ぐのが土地家屋調査士の職責であると思っています。
思い込みによる勘違いを防ぐために立会を行い、丁寧に説明し、忘れないように立会結果を図面にして取り交わす。境界杭が動かないように、きちんとコンクリートで固める。場合によっては長い杭を設置する、などすべて紛争を防ぐためであると思っています。起こりそうなトラブルを予測し、それを未然に防ぐには何をすればよいかを念頭において日々の作業を行えば、おのずとやるべきことが見えてくると思います。しかしながら、なかなか依頼人や隣接地所有者に理解してもらえないのが悩ましいところです。時には「取り越し苦労ではないか」「仕事を増やそうとしている」と非難されることもあります。しかし「どこに頼むかは金額だけでは決められない。次もぜひ頼みたい」「何度も足を運んでもらい、本当に良くやってくれてありがとう」と言ってもらえたことも何度もあります。
不景気な時代であり、事務所の経営は苦労を伴うでしょう。このような時代に、あえて開業する新入会員の皆さんに期待すると共にエールを送りたいと思います。


(写真・記事  広報部次長 中川 裕久)
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