G空間とは、筆者有野なりにザックリまとめると、2010年5月から政府のIT活用により、電子政府・医療・産業・金融・安全・豊な社会、とにかく世の中のことに政治主導・国民主導によりGPS・携帯電話などを利用した70兆円規模の新市場の創出と国際展開を目指すといったようなものです。土地家屋調査士には測量の基準点・街区基準点の電子情報、身近なところで登記オンライン申請などが関わってきます。
その国民主導の一角を成す団体として、9月19日から21日までの三日間を日調連役員と本会役員が土地家屋調査士制度60周年記念事業として取り組みました。
9月20日は敬老の日で連休の最終日と重なり、開催場所が横浜港や赤レンガ倉庫など観光スポットもたくさんあり、快晴の天気に恵まれ多くの人出がありました。
土地家屋調査士会のブースを訪問すると、北海道開拓時代の公図や宮城会から「登米伊達家の地図」藩士の屋敷割図を明治・平成と同じ場所の地図を時代毎にパネル展示されており、安政8年に作成された地図の正確さに驚かされました。
又、明治20年代の測量機材や、算法地方大成(天保8年刊)・改正地方大成(明治2年刊)など書籍なども展示され、その内容の一部は当時の測量機器の図解や現在の三角測量に関する記述もあり、現代と変わらない測量手法を行なっていた事に驚きを感じました。
その他の参加展示ブースは最新情報や最新機器を並べたメーカー各社、行政・大学の研究成果発表・技術動向の発表などの催しがあり、最新技術に触れながら展示会場をひと回りして、100席ほどが満員の中で2時間の講演を聴講して参りました。
講師は東京大学卒・米国コロンビア大学ビジネススクール終了。現在㈱日本政策投資銀行 地域振興グループ地域支援班 参事役(失礼ですが全部紹介し切れません)NHK歴史番組の出演や著書もある藻谷浩介先生でした。
講演を聞いて日常業務で所有権界とは?原始筆界はと過ごして来ましたが、県境の決まり方の事例を映像も交えて紹介して頂き、境界はその土地に暮らす人々の営みや地域の慣習・郷土史を可能な限り詳しく知ることも大切であると知り、今後の境界立会いに参考になると感じました。
講演の閉めに、日本の将来における不動産の価値の動向について、国民の人口変化の資料を基に団塊世代の高齢化と少子化が大きく関係する。日銀が通貨供給量を増やしたりする政府の景気策も難しい。景気が良くなるには人口が増加し、物がどんどん売れるから景気が良くなる。だから不動産の価値は、住宅を必要とする労働人口に比例して動く。
その他経済について筆者には過激とも思える内容もありましたが、聴講者の受け取り方は様々かと思います。筆者は冷や汗をかき、とても居眠りなどする間はありませんでした。
9月21日は山口が担当します。当日は日調連主催の「高度情報化社会における不動産表示登記制度のあり方」と題してパネルディスカッションが開催され、拝聴して参りました。
法務省民事局民事第二課地図企画官秦愼也氏、国土交通省土地・水資源局国土調査課課長補佐安藤暁史氏、東京都北区まちづくり部まちづくり推進課主査和田陽一氏、奈良大学文学部地理学科碓井照子教授に加え、本会海野会長がパネリストとしてディスカッションが行われました。
内容は、日本の不動産表示登記制度の歴史から始まり、世界的な視点からみると我が国の測量の進歩率が低い事、現在の地籍調査の進歩率・国土調査の第6次10ヵ年計画の解説等、今後の「地図」の作成とその維持についての課題と取り組みに関し、法務省・国土交通省・地方自治体・大学教授・土地家屋調査士会それぞれの意見交換がなされました。都市再生街区基本調査成果の活用、「地図」作成のため法務省・国土交通省の連携、関係資格者の役割に関しては非常に興味深く感じました。「地図」の作成だけでなく、維持管理をするにあたりGISの活用によるデジタル社会に対応した対策や運用に関し、碓井教授からの説明もとても参考になりました。海野会長から神奈川県内の市町村別の地籍調査進歩率、川崎市で実施された14条地図整備の紹介がありました。
今回のディスカッションの様な、様々な立場の人からのそれぞれの意見を一度に聞ける機会はあまりないので、非常にいい経験となりました。
(9月20日 写真・記事 広報部 有野 拓美)
(9月21日 写真・記事 広報部 山口 宏幸)
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