制度広報特別委員会は平成22年10月22日(金)制度広報活動として、藤沢市役所において、市職員を対象とした『筆界特定制度とは』と題する研修会を、支部会員の協力のもと開催しました。
受講者は約120名。道路や土地などの用地にかかわる部署の多くの職員の方々が参加され、大きな研修会となりました。内容は、上田委員から筆界特定制度を理解するうえで必要不可欠である基本的な用語解説から始まり、花上委員より筆界特定制度の概要説明と、加藤委員が経験された筆界特定申請の実例を題材に講義がありました。
用語解説については当初予定していなかったものの、第1回開催の茅ヶ崎市・鎌倉市・寒川町合同の研修会開催時に質問が相次いだそうで、概要説明の前に急遽取り入れたということでした。その内容は「境界」「所有権界」「筆界」といった用語の説明や、筆界と所有権界が一致しない場合の原因や解決方法などで、15項目にわたって解説されました。
次に筆界特定制度の概要として、“筆界を特定する”とは一体どういうことなのか、実際のところ、最終的に何が決まるのか等が、手続の流れや訴訟との違いとともに説明されました。
そして、実例の紹介。道路査定が不調となった部分の“官民境を特定する”という申請事例が、膨大な資料とともに時系列に沿って紹介されました(膨大な資料
——— 筆界特定申請書と、その添付書類、申請後の現地調査や意見聴取に関する法務局からの通知、最終的な「筆界特定書」の写しまで、あらゆる資料が冊子にまとめられていました)。後方からこの研修会の様子を見ていて、実は終始「戸惑い」のようなものが受講者の背中から感じられていたのですが、道路査定という身近な内容になったせいか、このときばかりは一気に集中力が増し、期待のまなざしが講師に向けられた
・・・・・・ ような気がしました。
いくつかの質疑応答のあと、開始から1時間40分ほどで研修会は終了となりました。
正直なところ、若干研修内容が高度過ぎたのではないだろうかと思うところがありました。基本用語の解説が必要なほど“境界問題そのものに馴染みがない”といえる方々を相手にするには、あまりに詳細で、専門的かつ実務的だったように思えます。職員の方々が業務上市民の方々と相対する中で、どういう場合に「筆界特定制度」を紹介したり、自身(行政側)がこの制度を利用したりできるかという具体例を挙げるなどしたほうが、より身近に感じられ、“筆界特定制度についてもっと知りたい”と思っていただけるのではないかと感じた研修会でした。一介の調査士としては、こうした研修(と資料)は自身には非常に参考になり、貴重な経験を得られたと思って感謝しているのですが。
湘南第二支部 深谷 美登里
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