第1部の基調講演は首都大学東京大学院教授の中林一樹先生が「地域力・行政力・市民力が協働する震災復興」と題して行われた。
阪神・淡路大震災を事例に
・地域力:地域社会の居住者や事業所による活動力
・行政力:基礎自治体の企画力・計画力・運営力
・市民力:多様な市民、専門家による中間的な支援者・組織の活動力
の必要性を講義された。
想定される首都直下地震の被害として、20万棟の全壊(40万世帯)、65万棟の全焼(130万世帯)被害は下町など木造住宅密集地に建物被害が集中。
建物被害は阪神大地震の被害規模を「1」として、東京では4〜5,神奈川・埼玉・千葉で各1と想定される。
経済被害は直接被害の復興費用で65兆円、間接被害の損失として47兆円の合計112兆円ほどになろうとのことであった。
復興の進め方においては被災者との「合意」の問題が指摘され、被災地域には住民が居なくなり復興デザインの策定が難しくなっている。
復興対策の事前準備の必要性を強調されていた。
また、避難所生活の中で孤独死が何件か起こっている事が報告されており、被災者へのサポートも重要である旨話されておりました。
第2部として事例報告がなされ、日本土地家屋調査士会連合会 会長 松岡直武氏は阪神・淡路大震災においての被害状況をプロジェクターを使い説明し、地殻の変動の中で土地家屋調査士として地域の土地境界復をどのようにして行われたか説明された。
首都大学東京大学院 助教の古市太郎氏は、事前復興訓練の可能性と専門家支援のあり方として、自治体、市民、専門家がある地域の震災被害を想定しどのようにして復興していくか、幾班かに別れそれぞれ都市復興図上訓練の成果を検討しあった例を説明された。
上池袋町会 町会長 山嵜和宏氏、豊島区都市整備部 高田秀和氏は上池袋町内会の防災訓練等の地域防災対策の報告がなされた。
第3部はそれぞれ講演をなされた方々と参加者との議論方式で行われた。
司会者より協議会が設立されている神奈川県大規模災害対策士業連絡協議会 会長浦田修志氏に現在の活動状況の説明を求められ、県との協定締結がなされた事などが説明された。
この講演に参加して、いかに事前対策が必要か改めて感じさせられました。
また、当会の会員が1名(私がお会いした限りでは)参加されていた事が大変うれしかったです。
平成22年7月16日
(写真・記事 副会長 奥田 一高)
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