埼玉会研修会の報告


2月3日(水)「さいたま市民会館おおみや」において埼玉土地家屋調査士会の第2回会員研修会があり参加いたしました。今回のテーマは2部構成になっており第1部が「土地家屋調査士と個人情報保護法」として講師を埼玉土地家屋調査士会の髙栁淳之助業務部長が務めました。



また第2部は松岡直武日本土地家屋調査士会連合会長が「土地家屋調査士の未来像」と題して講演されました。第1部のテーマを見たときに戸籍謄本等職務上請求用紙の取り扱いとの関連を思い浮かべたのは私だけではないと思います。
なお、今回は実務に即した研修の報告として、第1部の研修参加の報告のみをさせていただくことにいたしました。

まず山口研修部長による開会の辞の後、宮田埼玉会長が挨拶のなかで我々土地家屋調査士の職域が拡大する中で、国民から信頼されその期待に迅速に応えるためにも自らスキルアップを図る必要があり、今回の研修テーマが設定されたとのお話がありました。

「土地家屋調査士と個人情報保護法」では、平成21年11月1日法務省告示第453号の法務省所管事業分野における個人情報保護に関するガイドライン(案)と日本土地家屋調査士会連合会のホームページに掲載された個人情報データ・書類調査表の資料をもとにその取り扱いの注意点について話されました。

はじめに、このガイドラインの適用対象者(個人情報保護取扱事業者)の範囲について解説があり、多くの土地家屋調査士は、概ね5000件を超える情報取り扱い件数を下回るであろうことから対象外となるとのことでした。

しかしながら個人情報保護取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報についてはマイナス方向の報道などが多く、国民はこのことに非常にデリケートになっており、このガイドラインを守ることが望ましいとのことです。
個人情報のカテゴリは、氏名、性別、生年月日、住所、年齢、職業、続柄に限られず、身体、財産、職種、肩書きなどの属性情報も含まれます。

また、さまざまなメディアをとおして公開されるテキスト情報や画像、音声、動画映像なども特定の個人を識別できれば個人情報となります。
昨今Webに掲載されることで消去不能に陥るケースもあり画像、音声、動画映像などは問題化する場合が多いので細心の注意が必要とのことです。
情報管理上のリスクとしては紛失、盗難、不正アクセス、漏えいなどがあり、ID、パスワードの設定や携帯メモリの持出しの際の注意などそれらに対する対策が普段から必要ではないでしょうか。

土地家屋調査士は日常業務の中で登記情報を取り扱う際に、所有者名入りの公図を作成したり、隣接所有者調書、立会い調書などを作成します。一旦加工し作成したそれらの情報は、その作成者に情報の管理義務が生じます。

特に乙号の情報に関しては第三者の目に触れないよう特段の注意が必要ではないかとのことです。
申請人以外の個人情報が記載されることにより、立会い時や書面閲覧時などの際、その扱いについて申請人以外の方から指摘されることも予想されます。事前に了解を得たり、目隠しシールを貼るなど、また目的外使用をしない旨の奥書記載をするなどの対策が必要ではないかとのことです。

さらに立会い証明書などは、一用紙に隣接所有者を併記する形式のため、個人情報が第三者の目にも触れる結果となります。これについても同様の配慮が必用となります。
なお、横浜市では道路査定についての承諾書の用紙の使用は、一所有者につき一枚の使用にすでに変更されています。

私は立会い証明書ではなく、できる限り筆界確認書(境界確認書)を使用することで、当事者以外の第三者の目に触れることのないように心がけたいと思っております。また、一枚の図面に立会い者全員の境界確認情報や境界承諾情報などの記載がある図面の写しの請求があった場合については、その交付について記載された全員の承諾を得たり、請求者以外の方の情報を塗りつぶすなどの対策が必要になります。

このように我々土地家屋調査士が日常業務の中で扱う個人情報は、属性としての個人財産などに深く関係しており、事件が完結してからも履歴情報として活用される側面もあるため、その取り扱いに一定の基準が必要ではないかと今回の研修をとおして感じました。

おわりに、登記情報の一般開示の現状と個人情報保護との関係について質問があり、不動産登記法第155条による行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の適用除外について、不動産取引の安全の観点も視野にいれたものであるとの解説がありました。



講師を務めていただいた髙栁淳之助業務部長をはじめ埼玉会の関係者の皆様ありがとうございました。


取材 広報部 藤野 寛
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